日本のお墓は、古くから和型が主流であり、稀に自然石を積み上げた様なお墓が見られました。しかし近年のお墓は実にバラエティーに富んだお墓が見受けられます。洋型は当たり前、和型と洋型を折衷したものや、故人の功績を称えたもの、故人が愛していたものを題材としたものなど、ユニークなお墓が目立ってきております。
 洋型は「キリスト教のお墓」のイメージが強かったのですが、現在では宗派を問わず一般的に建てられるようになりました。その要因のーつに和型に比べ、値段が比較的安いことがあげられます。それは使う石の量が少ないからです。また和型より高さも低く、耐震性の面からも安心感があり、洋型が多くなってきたものと思われます。
 また生前の故人を偲び、故人を象徴したお墓や、抽象的にデザインしたお墓、ペットを配したお墓も見受けられますが、永代使用の権利がある以上、使用制限内であればなにを建てようと自由となっております。ただ如何なる理由があっても、ペットを納骨することはできません。故人にゆかりのあるお墓を建てられるときは、その故人だけを供養する、あるいは「功績を代々引き継ぎたい」との思いでお建てになる場合は別として、お墓は未来永却、代々引き継がれていくものです。将来のことにも一考しなければならないと思います。
 最近、お墓の本体だけで済ませる方は少なくなりました。(都会は別として)墓所に余裕があるからか、周りがそうしているからか、自分の墓所を主張するためか 外柵を施こされております。中には本体の何倍もの費用をかけている方も、いらっしゃいます。「立派なお墓を建てたい」と思うのはごく当たり前のことですが、いくら高価なお墓を建てても供養する心が第一です。
 そこで外柵を造るにあたって一言。どんなデザインであろうとも自由ですが、仏教には仏教、神徒には神徒にあった造りをすることです。仏教に神徒が入り混じった様なお墓、宗教色の強いお墓もたまに見受けられますが避けたいものです。
 さらに必要以上に穴を開けたり、凹凸の激しいものもあります。石には強度があります。強度を損ねたり、将来的に汚損する様なお墓は感心しません。

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 一昔前までは、墓石といえば非常に高価なものであって、安く建てるために軟石(溶結凝灰岩)を使用した墓石が主流でした。建物にも多く使用され小樽の倉庫群はその代表的な建造物です。
 近年においては墓石や建物にも御影石(花崗岩)が使用されています。軟石に比べ非常に硬く、強度があり磨くと鏡のようなツヤがでます。今では建物の内外壁、階段、敷石、浴槽、公園、墓石と多種多様に使用されるようになってきました。
 石種も多く白御影、黒御影、赤御影と色も豊富で、街を歩いていてもよく見かけるようになりましたが、欠点としては、値段が高いこと、衝撃に弱いこと、比重が高く重いことです。
 御影石は世界各国で産出されますが、今は生産コストが安い中国産が多く出回っています。日本産の墓石としては茨城の稲田石が多く使われていますが、高級品としては四国の庵治石が有名です。他にも国内には何十種類もの御影石があります。
 さて値段ですが一般的には白御影石は安価で、黒くなるほど高いと言われています。確かに一般的にはそうですが、石の硬度、吸水性、石英などの密度により様々です。従って、白ければ安いと言うのは間違いです。硬度のある石はダイヤモンドが埋め込まれている鋸で切断しても火花が出るくらい硬く、なかなか簡単には切れません。そのような石はツヤも良く、吸水性も低いのです。ですから建立後も風化が遅く、変色もしにくいのです。だからと言って墓参のときにお酒をかけるのは禁物です。変色の原因となるからです。
 お墓は末代のものです。ご予算の関係もあろうかとは思いますが、石は硬くて光沢のあるものをお選びいただくことをお勧めいたします。車は何回も買い替えることはできますが、墓石はそうはいきません。一生で割り算してみてください。

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