記者コラム

2016.10.27 狂言の世界

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 日本の伝統芸能の一つでもある「狂言」。その世界の知識もなければ、観賞する機会もない者にとっては敷居の高い分野だと思っていた。しかし先日、町民会館びほーるで開かれた小学5、6年生を対象とした狂言レクチャーを取材し、気軽に楽しめる芸能であることを初めて知ることができた◆狂言は滑稽な物まねなど言葉芸として生まれた猿楽を洗練させた笑劇。レクチャーでは代表的な作品の「附子(ぶす)」を演じた。召使いの冠者が主の命を破り桶の中の猛毒(附子)と思われた砂糖をなめ尽くし、それを知った主が怒り冠者を追い回すというまさに笑劇。観覧していた小学生も劇の内容を理解すると笑い転げ、狂言の世界に興味を抱いた様子だった◆芸術の秋というと一般的に絵画や写真、音楽などをイメージするが、時には日本の伝統芸能に触れてみてはいかがか。「敷居が高い」と自分から壁を作らず、その世界に飛び込んでみると意外な発見があり、案外夢中になれるかもしれない◆小学生の狂言レクチャーを取材して以来、機会があれば一度は本物の狂言を観賞し、大いに笑い転げてみたいと思っている。
(中村)