記者コラム

2016.11.12 TPP承認

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 環太平洋の12カ国が、関税を撤廃し自由貿易を推進するためのルール作りとなるTPP承認は、衆院を通過し、参院での論議が始まる。GDP6割を占めるアメリカの新しい大統領が離脱を表明する中で、日本は先頭を走る必要があるのか、少々疑問だ◆農業基盤の北海道は、このTPPの影響が大きいと、交渉段階から叫んできた。地域崩壊になると、農業団体だけでなく消費者も巻き込んだ反対運動を展開した。政治力を使い、重要5品目の聖域を守るとの確約の中で進んだ交渉は、秘密主義で未だに具体的な中身を把握できない◆GDP85%を占める6カ国の国会の承認が必要とされるが、そのGDPはアメリカが60%、日本が約18%。どちらか一方でも承認されなければ、発効できないのが現実だ。今、アメリカは大統領の交代で、TPP承認が揺らいでおり、来年1月20日の新大統領就任まで、結論は先送りされるのではとの観測だ◆日本は、農水大臣の不適切な発言に注目が集まっているが、せっかくできた“時間”で、TPPの中身に踏み込んだ議論を国民にアピールしてほしい。参院での審議を注目したい。(本多)