記者コラム

2016.11.29 親の説教

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 思春期や反抗期は、特に親に対して「細かい指示がうっとうしい」「いちいち答えるのが面倒」「他人と比較されるのはいや」など不満だらけ。自分の中高生時代を思い出して共感する人も多いのではないだろうか◆先日、美幌町で不登校や引きこもりの子供の見守りや自立支援をテーマにしたフォーラムが開かれ、札幌の若者支援総合センター館長の松田考さんが講演した。その中には思春期の子供を持つすべての親への子育て論が登場した◆松田さんによると、思春期の若者にとって最も無意味なのが父親の説教だという。「父親は正論を言う。しかし子供はなぜ説教されたのかはすでに分かっている。正論ほど役に立たないものはない」。そして母親も正論は言わないが、胸の内を聞かせてほしいと言う。松田さんは「思春期の若者が親に正直な気持ちを言うことほど高いハードルはない。胸の内を知られるのは裸を見られるよりいやなもの」と持論を展開した◆「それでも説教するのが親だ」と反論する人も多いだろうが、松田さんの「自身の思春期を思い出して子供と接してほしい」という言葉にもまた説得力がある。(中村)