記者コラム

ドタバタする柔道界

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 日本のお家芸といわれた柔道界がドタバタだ。女子強化選手の体罰やパワハラに次いで、今度は助成金の不正な取り扱いが発覚した。第3者機関で調査するとしているが、どこまで不正をさらし出せるのか。まさに潔い武道の精神をみせてほしい◆日本スポーツ振興センターの助成金を指導実態のない理事に支給していた。連盟に一部をキックバックしたとの証言もある。組織ぐるみではないとの言い逃れはできまい。何よりも、世界に奪われている主役の座を取り戻そうと練習を重ねる現役の選手や、“将来のメダリスト”たちの士気に影響しないよう、速やかに決着を図るべきだ。延長や判定ではなく「一本」での解決を望みたい◆お家芸といえば、相撲も麻薬や八百長事件に揺れたのが記憶に新しい。場所を開けないのも前代未聞。テレビの中継もストップした。日本を代表するスポーツのごたごたが、また世界に発信された。柔道に縁がない身でも残念に思う◆少子化で柔道場ばかりでなく、武道に通う子供が減っている。底辺拡大の決め手は親である。その親に「柔道をやらせてみないか」といえる環境をトップの連盟が壊すようでは、地方の指導者に顔向けできまい。    (本多)