記者コラム

TPP交渉

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 TPP(環太平洋経済連携協定)の交渉テーブルに、日本が正式に就いた。12カ国目となる日本は、どれだけ各国のテーブルで発言力を発揮できるのだろうか。国益を守るのは日本に限ったことではなく、それぞれの利害が絡む交渉だけに、日本が「聖域」と呼ぶ重要品目についても不透明だ◆北見市でTPP反対集会が開かれた。美幌町からも大勢が参加した。その中に日甜美幌製糖所の職員の顔ぶれもあった。重要品目の1つ、国産砂糖を守る戦いになるからだ。日甜の工場は美幌町にとってもビートの生産、雇用をはじめ多くの経済効果をもたらす。基幹産業の農業の3大作物の1つだけに、TPPによる影響は最も大きい分野でもある◆TPPは、農業ばかりが影響を受けるわけではない。知的財産や契約、医療や保険など、まさに例外がない自由化の世界。守るだけでは世界の競争に立ち向かえないし、攻めるだけでは日本の国益を失い兼ねない。特に食料自給率の低い日本は、海外への依存度を増やすだけでは、将来不安が増す。守りを固めるべき分野であるはずだ◆10月に基本的な合意を目指すとされるTPP交渉。戦う農業者にとっても阻止へいよいよ短期決戦だ。    (本多)