記者コラム

猫も杓子も

 「個性を大事にしたい」、「今は個性の時代」といわれながら、アイドルや人気モデルと同じ髪型やメーク、服装に飛びつく若者が多いのも事実。おしゃれに敏感なのはよいが、みんな同じ服装、同じ髪型だと結局「猫も杓子(しゃくし)も同じ姿。もっと個性を出して」と言われても仕方がない◆この猫も杓子もという言葉は「だれもかれも」という意味で使われている。かなり古い言葉で、室町時代中期に生まれたそうだ。語源は諸説あるが、いたずら好きな猫のちょっかいが、水をくむ柄杓(ひしゃく)に似ているからとする説もある◆猫は犬と同様に昔から人間とともに生活し、いわば家族の一員のようなもの。杓子はしゃもじのことで家庭の主婦を象徴した言葉。そこから奥さんから猫まで家族総動員という表現に使われるようになったという。「猫の手も借りたい」という言葉からも猫と人間の親しい関係がうかがえる◆いずれにしても猫、杓子のどちらも「どこの家にもある(いる)」という点で、この取り合わせが生まれたと考えるのが無難な解釈かもしれない。最近の流行で表現するなら「今は携帯電話を猫も杓子も使っている」という言葉が合いそうだ。  (中村)

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