記者コラム

50年前の10月10日

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 50年前の10月10日、東京オリンピックの開会式が国立霞ケ丘陸上競技場で開かれた。初のオリンピックで日本人選手は16個の金メダルを獲得した。重量挙げの三宅義信、東洋の魔女・女子バレー、男子個人総合の遠藤幸雄は体操男子団体と2冠、昭和の三四郎と称された柔道中量級の岡野功。日本のお家芸と呼ばれる種目は、東京オリンピックに原点がある◆高度経済成長のきっかけにもなった。新幹線の開業は10月1日。50周年のセレモニーが多彩に繰り広げられた。当時4時間だった東京・大阪間は、今は2時間半を切る。それはスピードアップの歴史でもあった。日本経済を戦後わずかな期間で世界トップクラスに押し上げた原動力も、この時期である◆そのオリンピックは6年後に再び東京にやってくる。世界が近くなった今の日本で、今度のオリンピックは将来の日本にどんな原点を残すのか。経済効果とメダルだけに固執してはスポーツの祭典がもったいない◆50年前、聖火の最終ランナーを務めたのは原爆投下の日に広島で生まれた陸上選手の大学生だった。今度は世界に何を発信するのだろうか。      (本多)