記者コラム

有益な生態

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 実際は人間にとって有益なのにその姿、形から忌み嫌われる生き物は多い。コウモリは吸血のイメージが大きいが多くは植物の果肉や昆虫を捕食し、中には蚊を好むありがたい種類もいる。三重県の鳥羽水族館で飼われ5年間の絶食で話題になったダイオウグソクムシも、深海で魚などの死がいを食べてくれる海の掃除屋だ◆セアカゴケグモなど有毒な種類もいるクモだが、家に棲みつく種類の多くはダニなどを捕食してくれる益虫が多い。数十本の長い足が特徴のゲジゲジもあの異様な姿が不快害虫とされるが、積極的に人間を攻撃することはなく、逆にゴキブリなどの害虫や小さな虫を捕食する益虫だそうだ◆以前、自宅の室にゲジゲジがいたという人の話を聞いた。夏場に俊敏な動きで室の壁を這い回っていたゲジゲジだが、冬が近づくと寒さで身動きせず、じっと壁にへばりついていたという。目障りなので駆除しようと思っていたそうだが、ゲジゲジは益虫だと説明したら複雑な表情を見せていた◆異様な外見で嫌われる生き物の中にも、実は人間に有益な生態を持つありがたい存在も多いことを知ってほしいと思う。      (中村)