記者コラム

救急隊員の研修会

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 先日、消防本部の救急隊員の研修会を取材した。脳卒中など脳血管疾患の患者を直接搬送している救急体制の検証と聞いて、興味があった。平成21年から直接搬送にかかわってきた美幌クリニックの藤田力院長の事例検証だった◆美幌、津別で網走、北見の専門病院に直接搬送された27件のうち、追跡できた19件で初めて死亡例がなかった年になった。藤田院長もこれほどの成果に驚いた。救急隊員が現場で脳血管疾患を判断する脳卒中スケールで、救う命が増えた。もちろん、救急隊員の適切な判断、病院との連携があってのことだ◆脳神経外科のクリニックとして平成8年から開業した美幌クリニックが昨日20日で閉院となった。藤田院長は、保健・医療・福祉ネットワークでもさまざまな取り組みを提言してきた。福祉分野でも、地域の関係者と新しい試みを生み出してきた。そして、直接搬送もその1つだ◆藤田院長は救急隊員に「自信を持って判断を」と伝えた。専門医の心強いアドバイスになった。直接搬送は今までと同じように継続される。中村敏文消防長は「研修を重ねてもっと精度を高めたい」と話していた。    (本多)