記者コラム

「大阪都構想」

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 「大阪都構想」の住民投票は17日の投開票で反対が賛成を上回った。大阪府知事就任から7年余り、政界の風雲児と呼ばれた橋下徹大阪市長の訴えは、大阪市民に届かなかった◆善しあしは別としてもメディアで露出度の高い橋下市長、その人気は大阪でも大きなものがあった。自らが作った地域政党・大阪維新の会は府議会や大阪市議会でも影響力を保った。国政でも維新の党は第3極としての発言力を高めた◆それでも、都構想への思いは過半数を奪うに至らなかった。行政運営の手法論だけに、住民には少し距離のある話題への説明が足りていたのか。賛成、反対だけで1票を投じるには、浸透度がまだ足りなかったのではないかと思う◆一方で、反対は49%を超える賛成票をどう受け止めるか。二重行政など課題も浮き彫りになった。従来通りで満足だとの結果ではない。改善がなければ市を二分した住民投票は生かされない◆住民投票は、住民が行政に参画する最終手段。美幌町も条例が整備されている。多額の予算を費やす住民投票に至らないためには、丁寧な住民説明と時間をかけた議論が必要なのはいうまでもない。     (本多)