記者コラム

東京オリンピック

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 2020年東京オリンピックが揺れている。多額の工事費が指摘された国立競技場の見直しに続いて、エンブレムもデザイン盗用疑惑などの末に白紙撤回となるドタバタ劇は、世界からどう映っているのだろう。4年に1度のスポーツの祭典は選手が主役だが、今のところ舞台ウラが主役という皮肉な状況だ◆デザインの世界が、どのようなものかは分からない身で軽はずみな意見は言えないが、存在する一定のルールを守っていなかったのはプロとしていただけないことだけは確かだ。ブログの謝罪で「不手際」の言葉で片付けてしまうだけでいいのかも疑問である◆国立競技場は、建設費の上限を定めた。前の計画に比べて1千億円以上も削減したというが、それでも1550億円という巨額を投じる。東日本大震災の被災地は、まだ通常の生活を取り戻せない。アベノミクスの恩恵を受けないままの地方経済の姿もある。東京五輪の名のもとに工事の東京一極集中に納得のいかない地方の建設業の声も聞く。「地方創生」の考えを、東京五輪にも生かすことはできないものだろうか。国の知恵を望みたい。      (本多)