記者コラム

平安遷都の日

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 時代劇は定番の侍同士のチャンバラも面白いが、人智を超えた力が登場するSF的なものも好きだ。中でも平安時代に陰陽師として活躍した安倍晴明は、特撮ヒーローに憧れた者にとって夢中になれる人物といえる◆安倍晴明は陰陽道と天文学を学んだ天文博士。国や人が進むべき指針を自然などから読み取る、今でいう占い師か超能力者の類いか。白狐(妖狐)を母に持ち、呪術や祈祷を得意とし、式神(十二神将)を自在に操るなど数々の伝説を生んだ◆平安時代に栄えた陰陽道も武士が天下を取る時代になると忌み嫌われ、西洋文化が流入した明治時代には迷信という烙印を押され完全に姿を消した。そのオカルトさゆえ敬遠される半面、興味を抱く人が多いのかもしれない◆きょう10月22日は平安遷都の日。794年、桓武天皇が長岡京から山背国葛城軍字太村の新京に移り、同年11月8日に平安京と命名された。“雅”というイメージの京は、明治時代までの1千年余、日本の首都と見なされてきた◆平安遷都の日に、京の都を思い描きながら映画などで陰陽師、安倍晴明の活躍を楽しむのも面白いかもしれない。      (中村)