記者コラム

2016.04.23 ありがた迷惑

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 相手のことを思い、何かをしてあげる善意の行動は人として素晴らしいもの。この善意を否定するつもりは毛頭ないが、時と場合によっては相手が感謝する半面、望んではいない結果になる、いわゆる「ありがた迷惑」と紙一重であることもまた事実だ◆「善意がなぜ迷惑だ」と思われる方に体験談を一つ。以前、漁船に乗った際に船酔いしてしまい、漁師の方が「大丈夫かい」と心配してくれた。最初は「大丈夫です」と返事をしていたが、話すのも大変な状態で再三聞かれるうちに「大丈夫じゃないのを見て分かってほしい。話しかけないで」と思ったことがあった◆熊本地震の被災地でも支援物資の中には「ありがた迷惑」のものがあるという。個人で救援物資を送る際に千羽鶴や寄せ書き、古着、生鮮食品などを届ける人がいて、気持ちはうれしいがこれらは被災者側の負担になるそうだ。阪神淡路大震災や東日本大震災を経験した人からは、支援は物ではなくお金を送るべきという意見もある◆被災された方々のために自分には何ができるだろうか。まずはきょうコンビニで買った弁当のお釣りを募金箱に寄付したいと思う。
(中村)